リスクベース品質管理
リスクベース品質管理機能では、要件の性質および利用可能なリソースに基づいて、各要件のテスト・レベルを計算できます。そして、この推奨事項を基にテスト・プロセスを計画できます。
リスクベース品質管理の概要
一般的に、利用できるリソースが無限に存在することはなく、すべての要件に対して完全なテストを行うことができない場合、リスクベース品質管理が役に立ちます。必要なのは折り合いをつけることであり、ビジネス重要度が低い要件、または、実装に関連するリスクが低いものしかない要件については、部分的なテストで済ませる必要があります。
リスクベース品質管理が有効になっている各要件タイプでは、「アナリシス要件」と呼ばれるリスク・アナリシス、または、「評価要件」と呼ばれる個々のリスク評価をサポートできます。ある要件タイプについてリスクベース品質管理を有効にする方法の詳細については、要件タイプの設定を参照してください。
アナリシス要件 |
アナリシス要件は、たとえばフォルダ・タイプのように、要件のツリー階層で高いレベルを表すタイプに属する要件です。 要件ツリー内のアナリシス要件の下にある評価要件に基づいて、アナリシス要件に関するリスク・アナリシスを行います。 複数の評価要件のリスク結果が集計され、テスト工数およびテスト戦略を決定する際に利用できる全体的なリスク・アナリシスが行われます。 |
評価要件 |
評価要件は、アナリシス要件の子であり、要件のツリー階層で低いレベルにある要件を表すタイプに属する要件です。 特定のアナリシス要件の下にある評価要件は、そのアナリシス要件に関するリスク・アナリシスを行う際の基礎となります。 アナリシス要件の下の評価要件ごとに、リスクおよび機能の複雑性の割り当てまたは計算を行うことができます。
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条件、その指定可能な値、そして、それらの値でビジネス上の危険性、失敗の確率、および機能の複雑性を決定する方法についてはカスタマイズ可能です。また、リスクを計算するビジネス上の危険性と失敗の確率の使用方法についてもカスタマイズできます。リスクベース品質管理の標準設定はカスタマイズ可能です。詳細については、
要件の評価
アナリシス要件の下の各評価要件について、ビジネス上の危険性、失敗の確率、および機能の複雑性を決定します。
注: 要件のビジネス上の危険性、失敗の確率、機能の複雑性が決定されていなければ、OpenText Application Quality Management は、リスク・アナリシスの要件を含みません。
要件を評価するには、次の手順を実行します。
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要件モジュールで、[表示]>[要件の詳細]を選択します。要件ツリーで、アナリシス要件の下にある評価要件を指定します。[リスク評価]タブをクリックします。
UI 要素
説明
評価ステータス 評価要件の現在のステータス。評価ステータスは、次のいずれかになります。開始されていません、進行中、完了。
アナリシスから除外 リスク・アナリシスを実行する場合、指定した評価要件は無視されます。
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[評価項目]タブをクリックします。このタブには、ビジネス上の危険性、失敗の確率、機能の複雑性を決定する際に使用する条件のリストが表示されています。
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計算されたリスク、ビジネス上の危険性、失敗の確率、および機能の複雑性を表示するには、[評価の結果]タブをクリックします。
リスク・アナリシスを実施する場合、条件の値に基づいて計算された値を無視し、代わりにユーザ定義値を使用することもできます。[評価の結果]タブの評価サマリ・エリアでは、[カスタムを使用]を指定します。有効な値は[A - 高い]、[B - 普通]、[C - 低い]です。
UI 要素
説明
リスク 要件のビジネス上の危険性および失敗の確率に基づいてリスクを計算します。
ビジネス上の危険性 その要件のビジネス上の危険性を測定します。
めったに使用しないと考えられる重要でない機能に影響する要件では、ビジネス上の危険性に
推奨
を割り当てます。これに対し、アプリケーションの機能に不可欠な要件では、ビジネス上の危険性におそらく致命的
を割り当てることになるでしょう。失敗の確率 その要件に基づいたテストが失敗する可能性を測定します。
実装する上でアプリケーションの大部分の領域にわたる大幅な変更を伴う要件では、失敗の確率に
高い
を割り当てることになるでしょう。これに対し、アプリケーションのアイコンの変更を要する要件の場合、おそらく関連リスクは多くないため、失敗の確率には低い
を割り当てることになるでしょう。機能の複雑性 要件の実装の複雑性を示します。
実装する上で、ほかのシステムと通信できるようにするためにアプリケーションに大幅な変更を加える必要がある要件では、おそらく複雑度が高くなり、機能の複雑性に
高い
を割り当てることになるでしょう。これに対し、アプリケーションがほかのシステムと通信できるようにするために大幅な変更を加える必要がない要件の場合、おそらく関連リスクは多くないため、機能の複雑性には低い
を割り当てることになるでしょう。 -
上記の手順を繰り返して、アナリシス要件の下の各評価要件について、リスクと機能の複雑性を割り当てるか、計算します。
アナリシス定数の定義
アナリシス要件とその下の評価要件を分析するための初期設定を定義します。
アナリシス要件のアナリシス定数を定義するには、次の手順を実行します。
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要件ツリーでアナリシス要件を選択します。[リスク アナリシス]タブをクリックします。
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[アナリシス定数]を展開し、アナリシス要件とその下の評価要件をテストするための初期設定を定義します。
UI 要素
説明
標準設定の表示
[リスク ベース品質管理の定数の標準設定]ダイアログ・ボックスを開くことで、使用している標準の定数を表示できます。
標準設定に戻す
標準の値を現在の要件で使用されている定数に割り付けます。
機能の複雑度ごとのテスト時間(完全) 機能の複雑性をもつ要件を完全にテストするのに必要な時間。機能の複雑性の値ごとに、推定テスト時間を入力します。
一般に、機能の複雑性が高い要件は、要件の実装に不具合が含まれている可能性が高いため、長いテスト時間を必要とします。
テスト・レベル(完全 = 100%、なし = 0%) 完全テストに対するパーセンテージで、要件に必要なテスト時間を定義します。
[部分]ボックスおよび[基本]ボックスに、要件の部分テストおよび基本テストに必要な標準設定のテスト時間を入力します。この値は、完全テストに必要な工数のパーセンテージで表します。
テスト・レベルが[なし]に設定された要件は、まったくテストされず、テスト工数は 0 になります。
要件の完全テストを実行するのに
20
時間必要で、部分テストは完全テストの75%
と定義した場合、OpenText Application Quality Management は、要件の部分テストを実行するのに15
時間必要と計算します。[テスト ポリシー(時間)]グリッド リスク・カテゴリおよび機能の複雑性カテゴリごとに要件のテスト・レベルを定義します。
レベルを定義するには、グリッドのセルの横にある矢印をクリックします。利用可能なテスト・レベルの中からテスト・レベルを選択します。利用可能なテスト・レベルは、[完全]、[部分]、[基本]、[なし]です。各テスト・レベルの横に、そのレベルで要件をテストするのに必要な推定時間(定義されたテスト工数およびテスト・レベルに基づいたもの)が表示されます。
リスク・アナリシスの実行
アナリシス要件の下にある各評価要件について、テスト・レベルとテスト時間を計算します。
アナリシス要件についてリスク・アナリシスを実行するには、次の手順を実行します。
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要件ツリーでアナリシス要件を選択します。
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[リスク アナリシス]タブで、リスク・アナリシスの[スコープ]を確認します。
リスク・アナリシスに含まれている要件の数が表示されます。その詳細(評価された要件、評価が不明な要件、評価できない要件)も示します。
分析に含まれていない要件のリストを表示するには、[評価なし]または[評価できません]のリンクをクリックしてください。[結果のドリルダウン]ダイアログ・ボックスが開き、グリッドにカテゴリの要件のリストが表示されます。
ヒント: [評価なし]リンクには、カテゴリを決定しなかった要件、または分析から明示的に除外した要件が表示されます。カテゴリの割り当てが必要な要件がないことを確認します。アナリシスに要件を含めない場合、その要件をアナリシスから明示的に除外します。
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[リスク アナリシス]タブの[分析]をクリックし、アナリシス要件の下の各評価要件についてテスト・レベルとテスト時間を計算します。
この計算は、評価要件のリスク・カテゴリ、および、アナリシス要件で定義したテスト・レベルおよびテスト時間の値に基づいて行われます。
必要なテスト時間の合計、割り当てたテスト時間の合計、必要な開発時間の合計が、更新されます。
必要なテスト時間の合計 現在のフィルタに一致し、リスク・アナリシスに含まれる、アナリシス要件の下にあるすべての評価要件をテストするのに必要な合計計算時間が表示されます。
割り当てたテスト時間の合計 リスク・アナリシスに含まれている要件をテストするために割り当てられた時間の合計。
必要な開発時間の合計 評価要件ごとに任意に予測した必要な開発時間に基づいた、アナリシス要件の下にあるすべての評価要件を開発するのに必要な合計時間が表示されます。
[要件数]グラフ 各リスク・カテゴリのアナリシス要件のサブ要件の数が表示されます。
分析に含まれる要件のリストを表示するには、グラフのセグメントをクリックしてください。[結果のドリルダウン]ダイアログ・ボックスが開き、グリッドにカテゴリの要件のリストが表示されます。
[合計テスト時間]グラフ 各リスク・カテゴリのすべての要件をテストするのに必要な合計計算テスト時間が表示されます。
分析に含まれる要件のリストを表示するには、グラフのセグメントをクリックしてください。[結果のドリルダウン]ダイアログ・ボックスが開き、グリッドにカテゴリの要件のリストが表示されます。
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[アナリシス定数]の下で、すべてのテストを実行するのに十分な時間が確保され、リソースが無駄にならないように、テスト・ポリシーを調整することができます。
詳細については、アナリシス定数の定義を参照してください。
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アナリシス要件の下の、現在のフィルタに一致するすべての評価要件に分析結果を適用するには、[分析して子に適用]をクリックします。
評価要件のリスク・アナリシスの表示と編集
アナリシス要件の下の各評価要件について、リスク・アナリシスを表示し、編集できます。
前提条件:
最初に、関連するアナリシス要件(親要件)に対して分析を実行し、結果をすべての評価要件(子要件)に適用する必要があります。詳細については、リスク・アナリシスの実行を参照してください。
テスト・ポリシーを表示するには、次の手順を実行します。
評価要件を選択し、[評価の結果]タブの[テスト ポリシー]を確認します。
データ |
説明 |
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次のアナリシス要件に基づく |
現在の要件が含まれる最後の分析が行われたアナリシス要件が表示されます。アナリシス要件の名前をクリックすると、要件ツリーのアナリシス要件に移動できます。 |
計算テストレベル |
現在の要件が含まれる最後の分析で計算された、要件をテストするレベル。 |
計算テスト時間 |
現在の要件が含まれる最後の分析で計算された、要件のテストに割り当てられた時間。 |
予測開発時間(オプション) |
要件開発に要する予測時間。OpenText Application Quality Management は、アナリシス要件とその子要件の予測合計開発時間を、子要件の予測合計開発時間として計算します。予測開発時間の割り当ては任意であり、リスク・アナリシスには影響しません。 |
最終分析日 |
現在の要件が含まれる最後の分析が行われた日付。 |
上記を次の計算に使用する |
次の計算で算出された値を無効にして、その代わりにユーザ定義値を使用します。 [テスト レベル]ボックスには、次の計算で使用するテスト・レベルを指定します。[テスト時間]ボックスには、次の計算で使用するテスト工数を入力します。次回、現在の要件が含まれる分析を行うときには、計算された値ではなくこれらの値が使用されます。 |
計算された値を上書きするには、次の手順を実行します。
計算された値を上書きして、次の計算でカスタム値を使用できます。
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[評価の結果]タブの[テスト ポリシー]で、[上記を次の計算に使用する]オプションを選択します。
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[テスト レベル]ボックスには、次の計算で使用するテスト・レベルを指定します。
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[テスト時間]ボックスには、次の計算で使用するテスト工数を入力します。
予測開発時間を指定するには、次の手順を実行します。
ある要件の開発に必要な予測時間を指定すると、ALM はアナリシス要件とその子要件の予測合計開発時間を、子要件の予測合計開発時間として計算します。予測開発時間の割り当ては任意であり、リスク・アナリシスには影響しません。
予測開発時間を指定するには、[評価の結果]タブの[テスト ポリシー]で、[予測開発時間 (オプション)]フィールドに値を入力します。
リスク・アナリシス・レポートの生成
アナリシス要件のテスト戦略、および、アナリシス要件の下にある評価要件のテスト戦略の分析レポートを作成できます。
前提条件:
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レポートを生成するには、まず分析情報を保存し、アナリシス要件の下のすべての評価要件にその分析情報を適用する必要があります。
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レポートを生成するには、お使いのマシンに Microsoft Word がインストールされている必要があります。
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分析結果は、最後に分析が行われたときの要件にのみ有効です。引き続き、要件のリスク・カテゴリまたは機能の複雑性カテゴリ、あるいはテスト・ポリシーを変更する場合は、再度分析を行う必要があります。
レポートを生成するには、次の手順を実行します。
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要件ツリーでアナリシス要件を選択します。
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[リスク アナリシス]タブで、[レポート]をクリックします。
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[レポートの生成]ダイアログ・ボックスで、次の内容を指定します。
UI 要素
説明
標準設定の場所 データのエクスポート先となる Word ファイルの場所と名前です。
参照ボタンをクリックすれば、[名前を付けて保存]ダイアログ・ボックスから場所を選択できます。
レポートを添付として追加 レポートをアナリシス要件の添付ファイルとして追加します。
要件のリストをレポートに含める 要件のリストをレポートに含めます。
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[生成]をクリックします。