要件管理
要件モジュールは、概念定義からデリバリまで、プロジェクトのあらゆる面を文書化し、追跡するための中心となるリポジトリです。例では、ビジネスゴール、顧客の要求、機能要件、承認や進捗の追跡が必要になるその他の要件が含まれます。
要件について
要件は、開発手法に応じて、リリースの概要や正式なドキュメントとして定義できます。
たとえば、宇宙飛行士を火星に送り込んだ後、地球に帰還させるという要件の場合、バックログは膨大な数の詳細なフィーチャー、ユーザーストーリー、タスクで構成されるでしょう。
また、単に成果物を定義するだけでなく、ビジネス関連情報の文書化にも要件を使用することができます。この場合、ビジネス目標、エグゼクティブブリーフ、リスク要因、市場機会などを、要件として入力することが可能です。
要件をテストや不具合にリンクすることで、それぞれの要件のカバレッジを指定できます。チームが要件とバックログの両方を使用して作業する場合は、この2つを相互にリンクすることで、どの要件がどのバックログ項目で実装されているかを示すことができます。
要件とバックログ項目
ユースケースの視点から考えると、バックログモジュールはプロジェクト管理を重視したモジュールだといえます。バックログ項目は、エピック、フィーチャー、ストーリーの階層で定義されます。チームごとに異なるバックログ項目が作成されます (バックエンドとクライアントなど)。
要件には階層化されたタスクではなく、最終的なデリバリの内容を表す全体的なストーリーが含まれます。たとえば、「多言語サポート」という要件を定義する場合、その定義がバックログ内にある10個の異なる項目に関連付けられることも考えられます。
この違いは、モジュールを使用するユーザーにも表れます。バックログ項目はプロジェクトオーナーまたはPMOが作成するのに対して、要件はビジネスアナリストまたはPMが作成します。
テストカバレッジの観点から、バックログと要件の作業を同時進行させることができます。または、品質の実装を反映させるモジュールを1つ選択し、そのモジュールにテストをリンクすることも可能です。
要件に関する作業
最初の手順として、要件の概要を示すフレームワークを作成します。ここに子要件を追加することで管理可能な単位へと分割し、チームメンバーがそれぞれの目的を理解できるようにします。要件は、目標、ユースケース、セキュリティ効果、パフォーマンスの変更といった従来の方法で構成することも可能です。
それぞれの要件は、リリース、タグ、テスト、不具合、フィーチャーに関連付けることができます。
要件ツリー (左側のペイン) には、フォルダーと要件の階層構造が表示されます。
要件ツリー内では、必要に応じて要件をドラッグアンドドロップできます。ALM Octaneは、フォルダーを緑または赤で表示し、要件をその場所にドロップできるかどうかを示します。最上位の要件は、その要件の親フォルダーから別の場所に移動することはできません。子要件は、別の親要件の下位に移動することができます。
作成者モードと管理モード
要件モジュールは、作成者モードと管理モードという2つのモードで操作できます。いずれのモードでも同じ内容が表示されますが、表示方法や実行できる機能は異なります。
作成者モード
作成者モードでは、ドキュメントビューで要件を定義できます。親要件の詳細をすべて定義した後、同じドキュメントに子要件とその詳細を追加します。作成者モードでは、図、表、画像、リンクの追加といったリッチテキスト機能を使用できます。
作成者モードでは、要件に含まれる最上位の要件から最下位の子までを、単一のドキュメントで表示します。ドキュメント内の番号は、要件の階層 (1、1.1、2など) を表しています。最上位の要件のタイトルが、ドキュメントのタイトルになります。
管理モード
管理モードでは、バックログモジュールと同じようなグリッドを使って要件の作成や操作を行います。各要件はグリッド内の項目として表示されます。右側の [プレビュー] ペインを使用して1つ以上の要件を操作できます。
要件を入れるコンテナーフォルダーを作成し、そこに子の要件を追加することが可能です。グリッドビューでは、項目にフィルターを適用し、一括で操作を実行することもできます。
子タブでは、バックログモジュールと同様に、ボードビューを操作することもできます。ボードビューは、要件のフェーズを管理するのに役立ちます。
概要については、ボードビューの使用を参照してください。
作成者モードでの要件定義
作成者モードでは、リッチテキストのドキュメントビューで詳細な要件を定義します。
-
要件モジュールのタイトルバーで、[作成者] を選択します。
-
要件ツリーでフォルダーを選択し、[+] をクリックして要件を追加します。必要に応じてフォルダーを作成します。
-
[要件の追加] ダイアログボックスに要件の詳細を入力します。説明では、テキストエディターを使用して書式を設定したり、表、画像、リンクを追加したりすることができます。
最上位の要件の定義が完了すると、その要件が右側のペインにドキュメントとして表示されます。作成者モードでは、要件に含まれるすべての内容が1つのドキュメントとして表示されますが、子要件と兄弟要件は別のボックスで管理されます。要件間でマウスを動かすと、点線が表示され、追加で実行可能な操作が提示されます。
-
右側のペインで子要件を作成するには、既存の要件の下にある [子の追加] をクリックします。兄弟を追加するには、既存の要件の下にある [兄弟の追加] をクリックします。
たとえば、1という番号が割り当てられている要件に子を追加すると、新たに作成された子要件には1.1という番号が割り当てられます。兄弟を追加すると、2が割り当てられます。
-
[保存] をクリックして変更を保存します。または、別の画面に移動すると、変更内容が自動的に保存されます。
管理モードでの要件定義
管理モードを使用して、グリッドビューで要件を定義します。
要件を定義するには:
-
要件モジュールのタイトルバーで、[管理] を選択します。
-
要件ツリーでフォルダーを選択し、[+] をクリックして要件を追加します。必要に応じてフォルダーを作成します。
または、[子] タブを選択し、[+ 要件] をクリックします。
-
[要件の追加] ダイアログボックスに要件の詳細を入力します。
-
次のタブを使用して、要件の詳細を入力します。
タブ 詳細 詳細 要件の詳細を表示し、要件をリリースに割り当てます。 子 [プレビュー] ペインで、子要件の表示、子要件の追加、要件に対する操作を実行します。 テスト 手動テスト、Gherkinテスト、テストスイートを要件に割り当て、[プレビュー] ペインで進行状況を追跡します。 不具合 要件に不具合を割り当て、進捗状況を追跡します。
説明バージョンを作成して比較する
要件記述のバージョンを定義し、バージョン間の変更を比較できます。
バージョンを作成して比較するには:
- 要件の説明を編集するときは、[保存] ボタンの横にあるドロップダウン矢印をクリックします。
- 説明バージョンの保存を選択します。
- 新しい説明バージョンに名前を割り当てます。
- 要件の履歴タブで、更新されたフィールドを「説明バージョン」でフィルタリングします。
- 「説明バージョン」エントリの横にある変更の表示リンクをクリックします。
- [[変更] ダイアログボックスで、比較するバージョンを選択します。
要件を他の項目に関連付ける
要件を次の項目に関連付けることができます: タグ、リリース、フィーチャー、不具合、テスト
要件を項目に関連付けるには、次のいずれかを選択します。
- テストから、カバーされる要件フィールドで、関連する要件を選択します。
- 作成者モードでは、[プレビュー] ペインで要件を選択してタグを割り当てることができます。
-
要件の詳細を表示し (いずれのモードでも可能)、[詳細] タブでタグとリリースを割り当てることができます。[関係] タブでは、フィーチャー、不具合、テストに要件を関連付けることができます。
Excelからの要件のインポート
要件の階層を含むExcelファイルを作成し、それをALM Octaneにインポートできます。Excelファイルでは、階層は各行の相対インデントで表され、ALM Octaneの要件の階層に変換されます。
たとえば、これは、ALM Octaneを使用していない人 (ビジネスアナリストなど) が要件を作成し、それを開発チームがインポートして実装する場合に役立ちます。
インポート要件のアクセス許可は、ビューアーとチームメンバーを除くすべてのロールに対して標準設定で有効になっています。
-
Excelテンプレートファイルをダウンロードするには、ALM Octaneの [設定] ボタンをクリックし、[インポート] >[要件ドキュメント] を選択します。ダイアログボックスで、インポートファイル例の表示をクリックします。
これで、このファイルを編集したり、このテンプレートに基づいて別のファイルを作成したりできます。
-
Excelファイルをインポートする準備ができたら、ALM Octane設定ボタンをクリックし、[インポート] >[要件ドキュメント] を選択します。
-
ファイルの場所を参照します。ルートノードフィールドで、ALM Octaneの親要件フォルダーまたは要件ドキュメントを選択します。インポートされたすべての要件は、この親の下にネストされます。
-
インポートをクリックします。Excelファイルの各行は、ALM Octaneの要件ドキュメントに変換されます。
ALM Octaneは、インポートによる要件ドキュメント項目の更新をサポートしていないことに注意してください。同じExcelファイルをインポートできるのは1回のみです。
WordおよびPDF形式への要件のエクスポート
法務文書の作成、組織内での要件の共有などのために、要件をWordまたはPDFファイルにエクスポートすることができます。
サポートされるバージョン: Acrobatバージョン11.0.23以降。
作成モードで要件を選択し、ツールバーの [Wordにエクスポート] または [PDFにエクスポート] をクリックします。ALM Octaneは、選択した要件の階層に基づいて、WordファイルまたはPDFを作成します。
注: Linux環境でPDFとWordファイルを正しく生成するには、サーバーのsite\storage\site\fontsまたはsite\storage\sharedspaces\...\fontsにArialUnicodeMSをインストールする必要があります。追加のフォントが欠落している場合、管理者はそこにフォントを追加する必要があります。フォントのインストールの詳細については、https://docs.aspose.com/words/java/install-truetype-fonts-on-linux/を参照してください。
エクスポートの制限
エクスポート要件には、次の制限が適用されます。
-
Linuxサーバーからのエクスポートでは、東アジア言語はサポートされていません。
-
ALM Octaneでは、まったく同じスタイルを持つファイルをWordまたはPDFで自動生成することはできません。特定のフォントとサイズで出力を生成したい場合は、ALM Octaneで関連する領域を選択し、特定のフォントとサイズをテキストに適用してからエクスポートしてください。
-
表のエクスポートでは、ALM Octaneのスタイルではなく、WordおよびPDFで標準設定設定されている表スタイルが適用されます。
-
表や画像の幅が非常に広い場合、正しくエクスポートされないことがあります。A4の幅を超える表や画像は、端が欠けた状態でエクスポートされます。
要件の分析
要件モジュールを使用して、要件の範囲を分析します。
管理タブで、概要タブを開きます。このタブには、要件の観点からプロジェクトの状態に関する有用な情報を表示するウィジェットが含まれています。標準設定では、要件別フィーチャーグラフを含む4つのウィジェットがあります。このビューをカスタマイズして、最適なウィジェットを表示できます。
要件フォルダと要件ドキュメントの両方の詳細タブで、テストカバレッジウィジェットを追加して、要件とテスト実行の関係を判断できます。このウィジェットを追加するには、カラムをカスタマイズしてテストカバレッジを表示します。このカラムは、子タブのグリッドビューに追加することもできます。詳細については、ウィジェットにカーソルを合わせてください。
カスタムグラフを作成して、要件のステータスを表示し、要件に応じて実行範囲をテスト実行ます。現在のステータスのグラフのみを作成できます。
要件ステータスグラフを作成するには:
要件を項目タイプとして使用してカスタムグラフを作成し、フェーズでグループ化します。詳細については、ダッシュボードのセットアップを参照してください。
要件はアルファベット順に表示されます。
カバレッジグラフを作成するには:
テスト実行を項目タイプとして使用し、カバーされる要件をX軸として使用してカスタムグラフを作成します。詳細については、ダッシュボードのセットアップを参照してください。
参照情報: